オレンジワインとは
オレンジワインと聞くと、果物のオレンジで造る果実酒と勘違いされる方も多いですが、
(私も初めて聞いた時はそう思いました。。。)
れっきとしたワインの一種で、白ブドウを使い赤ワインの製法で造ったオレンジ色のワインです。
英語では「amber wine(アンバーワイン、琥珀のワイン)」と呼ばれ、琥珀色やくすんだオレンジ色に近い色合いをしています。
「オレンジワイン」という呼び名は、2000年代にイギリスのワイン商によって作られた造語です。
●味わい
独特の製法により造られるオレンジワインは白ワインと赤ワイン両方の魅力を持つのが特徴で、
通常の白ワインより複雑で個性的な味わいのワインです。
白ワインのようなアロマティックな香り、果実味、すっきりとした酸を感じ、
更に赤ワインのように果皮由来の渋味とコクを併せ持つ飲みごたえのある味わいです。
造り手の研究や工夫によって、スルスル飲めるものから濃厚な印象のもの、
荒々しいタンニンやクセのある香りetcの個性を強く感じるものまで、
幅広い味わいで様々な表情を楽しめるワインです。
自然派ワインのブドウ品種と醸造方法について
(赤ワイン、白ワイン、ロゼワインとオレンジワインの比較)
◆ブドウ品種
自然派ワインで使用されるブドウ品種は、スタンダードワインと同じです。
ただ、自然派ワインはテロワール(=地形、土壌、気候などの自然環境)を
反映するという観点から、国際的なブドウ品種(=カベルネ・ソーヴィニョン、シャルドネetc)
だけでなく、生産地で昔からある土着品種を多く使用していることも特徴的です。
また、醸造方法やブドウ種のブレンド比率が生産者によって異なること、自然酵母を使用していることによって、
同品種のブドウでも全く違う味わいとなるのも自然派ワインの面白さの1つです。
◆赤ワインの製造法
黒ブドウ*1 を丸ごと使って造られます。
破砕した黒ブドウの果皮を果汁と一緒に発酵させるため、果皮に含まれる青や赤色の色素
(アントシアニン)が溶け出し、ワインに色が付きタンニンも抽出されます。
甘味よりも渋みが強くしっかりした味わいになります。
◆白ワインの製造法
白ブドウ*2を破砕し、果皮や種子を除き果汁だけを発酵させることで、透き通った白ワインになります。
渋みはなく酸を感じ、スッキリとして飲みやすいものが多いです。
◆ロゼワインの製造法
製造方法はいくつかありますが1番シンプルな直接圧搾法では、
黒ブドウをまるごと使い、圧搾の際に、果皮からの色素でピンク色になった果汁だけで、
白ワインの製法で造られます。赤ワインよりは渋みがなく白ワインよりもしっかりとしています。
◆オレンジワインの製造法
白ブドウを丸ごと使い赤ワインの製法で造られたワインです。
白ブドウの果汁を果皮や種と一緒に発酵 (スキンコンタクト法)させることにより、
果汁に果皮と種の成分が抽出されます。白ブドウの果皮にはアントシアニンが含まれないの
で、赤色にはならず、黄色系色素が溶け出すことで、オレンジに近い色調になります。
白ブドウを使用して造られるオレンジワインは、大きく分けると白ワインの仲間に
分類され、黒ブドウを使って白ワインの製法で造るロゼワインと対極の存在と言えます。
*1 黒ブドウとは皮が紫や黒いブドウのことで、食用ブドウでは巨峰やデラウエアが代表的です。
*2 白ブドウとは皮が黄色や緑色のブドウで、食用ブドウではマスカットがあります。
オレンジワインと自然派ワイン
自然派ワインは、添加物は必要最小限の亜硫酸(SO2)のみ、又は無添加で醸造されます
が、ブドウ果汁だけを発酵させて造る白ワインは、果皮に含まれる自然の酸化防止剤で
あるタンニンを持たないため、赤ワインに比べると亜硫酸(酸化防止剤)が多めに必要です。
(EUの規定でも、白ワインは赤ワインより若干多い亜硫酸の添加が認められています。)
しかし、オレンジワインは赤ワインのようにタンニンがあるため、亜硫酸の添加を控えたワイン造りが可能です。
それにより、自然派ワインの生産者は、白ワインをオレンジワインとして造ることで、
添加物を少なくすることができています。
ただ、自然派ワイン生産者以外でもオレンジワインは造られていますので、
オレンジワインがすべて自然派ワインではありません。
オレンジワインのルーツ
オレンジワインの起源はワイン発祥の地と言われるジョージアです。
ジョージアはヨーロッパとアジアの境に位置し、約8,000年前からワイン造りをしている国です。
素焼きした粘土から造られる”クヴェヴリ”を地中に埋め込み、そこでブドウを房ごと醸し
たのがルーツです。今でもジョージアではこのような製法でワインが造られており、クヴェヴリを使用したワイン製法は、2013年にユネスコの無形文化遺産に指定されています。
「クヴェヴリとは、先が尖った卵型をした大きな”かめ”で、地中に埋めて醸造することで、
安定した温度の中でワインを発酵させることができます。そして、卵型の形状のおかげで、
果汁と果皮や果梗等の循環が促されると言われています。100〜3,500Lと大小様々あり、
特に大型のものは保存用としても使用されます。
オレンジワイン以外でも使われる”アンフォラ(amphora)”は陶器製で似ており、
クヴェヴリと混同されることがありますが、アンフォラは主に保管、輸送用の容器です。」
ジョージアは旧ソ連の支配下にあったため、オレンジワインは国際市場には出まわらず、
一時期は歴史から姿を消していました。
1990年代後半になり、イタリア・フリウリ州のワイン生産者グラヴナーが、ジョージアの独特の製造法に着目したことをきっかけに、オレンジワインは世界中へ名が知れ渡ることとなりました。
今ではジョージアの伝統的なワイン造りのスタイルにインスピレーション受けた、
多くの自然派ワインの生産者達により、世界中のワイン産地で造られるようになりました。近年ではクヴェヴリは使用せずステンレスタンクや樽を使用し、クリーンな味わいの近代的なスタイルのワインも造られています。
そして、オレンジワインは世界的な自然派ワインの大流行に乗って、添加物の少ない最新のワインとして広く認知され、定着しました。
オレンジワインの楽しみ方
●楽しみ方 ♪
オレンジワインは、タンニンのある白ワインです。
オレンジワインは(個性の強すぎるものを除く)、食事の組み合わせとして前菜から肉料理までオールマイティ!に合います。
まさに フードフレンドリー!
赤か白か迷ったらオレンジワイン!とも言えます。もちろん単独でも楽しめます。
このように幅広い楽しみ方が出来るのも大きな魅力です ♪